日焼け止めとプールの相性の悪さを受け入れる

日焼け止めとプールの間には抜き差しならない対立関係があると言わざるを得ません。
「水と油」という、どうしても混じり合うことができない二者を表す言葉がありますが、この言葉は、そのまま「日焼け止めとプール」の関係に置き換えることができるように思われます。
日焼け止めの使用自体が禁止されているプールもあり、プールにおける日焼け止めの使用禁止のルールやその理由に対しては、紫外線を恐れて日焼け止めを使用する利用者からの並々ならぬ不満や怨嗟の声がぶつけられる傾向にあります。
「日焼け止めとプール」について、私はすでに個人的な答えが出ておりますが、この個人的な答えは、おそらく日焼け止めの利用者からは不満を集めるような答えであるでしょう。
そのことを充分に承知したうえで、他人に「そうしろ」という強制的な禁止命令を出すのではなく、あくまでも「自分はそうする」と決めている答えとして受け取っていただければと思うのですが、私は、「日焼け止めとプール」に関しては、以下のように考え、自分の行動を制限することにしています。
日焼け止めとプールにまつわる個人的なルール
「1,もしプールに入りたいのであれば日焼け止めは使わない。2,紫外線が気になってどうしても日焼け止めを使うというのであればプールを諦める。」
拍子抜けかもしれませんが、これが私の「日焼け止めとプール」に関する考えから導き出されたルールであり、現在まで、プールに入るときは1のルールを、日焼け止めが身体に塗られているときは2のルールを忠実に守っています。
個人的な話になりますが、私の場合は、そもそも、室内プールの利用がメインであり、野外のプールにわざわざ足を運ぶという機会が滅多にありません。夏の間に多くて二、三回くらいでしょうか。
日焼け止めも、真夏の野外のイベントなどで長時間にわたって炎天下に晒されることが予期されるとき以外はなるべく使用しないと決めて暮らしています。
ですから、私としてはこれらの二つのルールを守るのはとても簡単なことでしたし、これらのルールを守っていて困ったこともありません。紫外線に苦しんだ経験もありません。
室内プールで楽しく泳ぎ、紫外線も避け、日焼け止めの使用も回避している肌は、双方からのダメージをうけることがないままに健康を保っております。
しかし、私は、これらのルールを、他人に押し付けるつもりはありません。「私がそうしないと決めている」というだけです。
ですが、「ルールを押し付けない」ということを前提に、「日焼け止めとプール」について考えていくなかで、なぜ私がこのような二つのルールを設定するという答えに至ったのかを説明しながら、「日焼け止めとプール」の問題をみていくことはしていきたいと思います。
ウォータープルーフの日焼け止めについて
「日焼け止めとプール」について考えていたとき、最初に気にかかっていて、そして、最後までそこを基準にして考えていたのは、プールにおける「日焼け止めの禁止」にまつわる諸事情ではなく、「ウォータープルーフ」と呼ばれる「耐水性」が強い日焼け止めのことでした。
私のなかで設定された「1,もしプールに入りたいのであれば日焼け止めは使わない。2,紫外線が気になってどうしても日焼け止めを使うというのであればプールを諦める。」という二つのルールは、「ウォータープルーフの日焼け止め」について調べていくうちに固まっていくことになりました。
「耐水性」の強い日焼け止めをめぐる思考のなかで、「ウォータープルーフの日焼け止めを使ってプールに入れば紫外線対策ができる」という結論ではなく、それとは真逆とも思えるような二つのルールが導き出されることになったわけです。これは、一体どういうことでしょうか。
プールに限った話ではなく、海などの場面、また、汗などを大量にかく季節やシチュエーションに重宝される日焼け止めとして、「耐水性」が強い「ウォータープルーフの日焼け止め」は注目され、人気の日焼け止めとして扱われる傾向があります。
ウォータープルーフの日焼け止めの人気の土台
「ウォータープルーフの日焼け止め」に限った話ではなく、日焼け止め全般において、「日焼け止め効果の持続時間」というのは、日焼け止めの選択において非常に重要な要素として扱われています。
「効果の持続」が切れて「塗布した日焼け止めが肌から落ちる」ということは、その都度「日焼け止めの塗り直し」を要求されるということです。
効果の持続時間が短く、肌から落ちやすい日焼け止めは、たとえば「肌への刺激が少ない」というようなメリットがあるとしても、その「塗り直しの頻度」によって肌に蓄積されるダメージなどが、「肌への刺激が強い」日焼け止めを上回ることがあります。
「肌への刺激が強いが持続時間が長く落ちにくい日焼け止め」を使うか、「肌への刺激が比較的おさえられているが持続時間が短くまた落ちやすい日焼け止め」を使うか、という問題は、日焼け止めの使用者にとって頭を悩ませ続ける問題であるはずです。ここに、「プール」や「海」や「汗」などの、「日焼け止めが何かしらの液体によって洗い流し落とされる」という状況が加わることになります。
ここで、「ウォータープルーフの日焼け止め」という「耐水性」が強い日焼け止めが登場し、注目を集めることになります。そして、「人気の日焼け止め」を紹介する記事などで、しばしば「プールや海、または、汗をかく季節にはウォータープルーフの日焼け止めがオススメ」という風に紹介されるというわけです。
ウォータープルーフの日焼け止めに対する疑問

ここで、素直に「ウォータープルーフの日焼け止め」の「耐水性」を信じられればよかったのですが、私はここでちょっとした疑問を抱き、「ウォータープルーフの日焼け止め」についてしばらく考え込むことになりました。立ち止まりながら考えたことは以下のような内容にまとめられるでしょう。
「耐水性とは『水』に対する耐性である。耐水性が強いとされているウォータープルーフの日焼け止めは、なるほど、たしかに『水』には強いのかもしれない。しかし、『プールの水』は厳密には『水』ではない。『プールの水』は『水』ではなく『塩素水』である。同様に、『海の水』は塩気を含んだ『海水』であり、『汗』は『体液』である。これら、『塩素水』、『海水』、『汗』というものは、『水』のようでありながら『水』ではない、似て非なるものなのではないか。そのような『水のようでありながら水でない液体』に対して、果たして『耐水性』に意味があるのか、どうか」
この疑問から出発した考えの行き先は、「ウォータープルーフの日焼け止め」の抱えている問題はもちろんのこと、何よりも、「プールにおける日焼け止めの利用」が抱える問題へとしっかりと繋がっていました。
日焼け止めの耐水性はプールの塩素水の前では無力である
結論から言うと、疑問とともに調べていくことで「ウォータープルーフの日焼け止め」は「耐水性」は優れているものの、「耐塩素水性」はまるでなく、「塩素水」にさらされた日焼け止めはすぐに肌から剥がれ落ちるということが明らかになりました。
この「耐塩素水性」のなさは、もちろん「ウォータープルーフではない日焼け止め全般」においても例外ではないということは言うまでもないことでしょう。
つまり、「プールに入る」ということは、そのまま「水素水」によって「日焼け止めを肌から剥がす」ということなのです。となると、自然と二つのルールの一つ目が形成されていきます。そう、「1,もしプールに入りたいのであれば日焼け止めは使わない」です。
「塩素水にさらされると日焼け止めは肌から剥がれ落ちてしまう」ことを考えると、「プールに入るために日焼け止めを塗ることは無駄」でしかありません。「塩素水」の前では、いくら日焼け止めに耐水性があろうとなかろうと関係ありません。
禁止されるまでもなくプール利用時の日焼け止めは無駄である
ウォータープルーフの日焼け止めと耐水性について調べているときに「プールにおける日焼け止め禁止」という事情を知ったときは、「当然だろう」と思わされることになりました。
この問題に関しては、「禁止」という書き方が日焼け止めを使って紫外線を防ぎたい層の精神を刺激し、神経を逆撫でしているようにも私には思われます。
プールの経営側は、「日焼け止めはプールに入るとすぐに剥がれ落ちてしまいますので塗るだけ無駄です。だから、プールに入るときは日焼け止めを塗らないことをオススメします。いくら肌に塗ったところで、プールに剥がれた日焼け止めがぷかぷかと浮かぶだけです。日焼け止めの仕様は控えましょう」と書くべきだったのかもしれません。ですが、このような書き方は、「禁止」以上に日焼け止めを使って紫外線を防ぎたい層をより苛立たせるいやらしい書き方かもしれません。
なんにせよ、私は一人のプールの利用者として、また日焼け止めの使用者として、「プールに入るときに日焼け止めを使うのはまったくの無駄だな」と判断し、「やっても無駄なこと」をわざわざやって日焼け止め代を出すことに抵抗があったので、ひとつ目のルールであるところの、「1,もしプールに入りたいのであれば日焼け止めは使わない」をまずは設定することになりました。
日焼け止めの不要な塗布でわざわざリスクをおかす必要はない
ひとつ目のルールとふたつ目のルールは、千円札の表と裏のようなものです。ひとつ目のルールが設定された瞬間に、ほぼ同時にふたつ目のルールであるところの「2,紫外線が気になってどうしても日焼け止めを使うというのであればプールを諦める。」が設定されることになりました。
ふたつ目のルールの背後には「プールのなかに自分の肌から剥がれ落ちた塗るだけ無駄な日焼け止めを垂れ流すことに抵抗があるから」という理由があります。
「日焼け止めとプール」について調べていると、「塩素水によって肌のうえから剥がれた日焼け止めは、塩素水によって剥がされるときに化学反応を起こし、人体にとって有害な物質に変わる」というような情報を見ることにもなります。
これに関しては化学式などを見ても素人目にはよくわかりません。実際に身体を壊したわけではないので、情報の真偽を断言することはできません。
しかし、真偽はわからないにせよ「対プールにおいては塗るだけ無駄な日焼け止め」を使用することによって「自分が原因で有害物質を撒き散らすことになる可能性がある」のであれば、はじめからそうしないほうが賢明であるだろうということはわかります。
なんといっても塗るだけ無駄なのですから、無駄なことをして可能性として考慮されている危険をわざわざ積極的におかす必要もありません。
プールに行くときくらいは紫外線とともに生きてみる

体育の授業で半ば強制的に野外プールに連れ出される小中学生の日焼け事情は、利用するプールを自由に選択できる大人の事情とは違うのだ、という意見もあることでしょう。
しかし、プールの授業中でも「日陰で待機する時間」は必ずありますし、日差しを浴びながら泳ぐ時間は授業時間を考慮すると総合してもせいぜい30分ほどにもならないのではないでしょうか。
「1,ほぼ毎日のように野外プールに通いつめている。2,その野外プールのプールサイドなどに日差しを遮る日陰がない。3,何時間にもわたって日差しを浴びながら泳ぎ続けなければならない」、極論かもしれませんが、このようなシチュエーションであれば日焼け止めも必要かもしれません。しかし、このような極端なプールライフというのは正直なところあまり現実味がないように思われます。
「日焼け止めとプール」の問題は、結局のところは「あちらを立てればこちらが立たず」なのです。日焼け止めの天敵はプールであり、プールの天敵も日焼け止めです。その両立は極めて難しく、ほとんど不可能であるといっていいものです。
もしやむなく野外のプールを利用するというのであれば、そのときは割り切った態度で、「遊び」や「楽しみ」を優先し、ある程度の量の紫外線を受け入れて日差しと共生していく道を探るくらいがちょうどいいのではないでしょうか。